2003年6月16日
所沢市情報公開・個人情報保護審査会
会長 川口 雄市 様
異議申立て人 大和田 諭史
住民基本台帳ネットワークシステムに係る異議申立てに対する
追加意見の提出について
1、長野県本人確認情報保護審議会 第1次報告(5月28日)より
(
なおこの報告書には下記の付属資料4点もあります。
・住基ネットに関する市町村調査 ・市町村のネットワークに関する現地調査結果
・住基ネット接続パターン ・ITセキュリティ保護のコストについて
住基ネットの稼働に伴って設置された長野県本人確認情報保護審議会は5月28日、県内の市町村と国側との中継を県が当面、取りやめるよう求める報告をまとめ、田中康夫知事に提出しました。
長野県の審議会は県内全120市町村にアンケートを実施し、さらに任意に抽出した11市町村には聞き取り調査も行ない、そのうえで、市町村のセキュリティー(安全)対策などについて各委員が分析しています。
この報告書からの抜粋。
@アンケート、聞取り調査
担当職員の91%が住基ネットは「自治体の負担が大きい割にメリットが少ない」と答えた。さらに56%が「住民のメリットが少ない」又は「本人確認情報の漏洩などプライバシーが心配」とも答えた。
ある自治体では,庁内の同一セグメントにイントラネットと従来の住基システムなどの業務系ネットが同居しており,加えて,インターネットと住基オンラインが同一ネット上に置かれていた。インターネット経由で全ての情報が取られかねない事態である。
各自治体のLAN(構内情報通信網)に接続してあるパソコンであれば、住基ネットのサーバーにアクセスできる構造になっている事例が多い
担当職員でセキュリティについて安心していると答えたところは,審議会の聴き取り調査ではゼロであった。反対にセキュリティに関する不安の声は,極めて強かった。
担当責任者なのに「コンピュータ操作もよく分からず,とにかく不安」と述べた職員は,問題が発生したときの対応が全く分からず,ウイルスなどの侵入は誰がチェックしてくれるのかと問うてきた。
彼らは事務効率化と費用の両方でデメリットしか発生しないと断言,「市町村のシステムだと国は言うが,実は国のためのシステムである」,「住基ネットのメリットは市町村にも住民にもなく,国による個人情報活用にある」と喝破した。
県下の27の自治体でなんと,住基ネットとインターネットが物理的に接続されていた。長野県下の自治体に内外からインターネット経由でアクセスが殺到し,情報が流出する恐れがある。長野県民と県下の自治体のみならず,日本全国の自治体と国民全員が被るであろう被害は測りようがない。
住基ネットの仕組みに関して首長はほとんど理解しておらず,担当職員任せになっている。
マニュアルを全部理解できないほど複雑な事務処理になっている。
A市町村ネットワークの接続形態とその危険性
「住基ネットワークはインターネットとは独立した閉じたネットワークであるから安全である」ということは断定できず,何らかの装置を介して住基ネットワークがインターネットに繋がっている事例が複数存在している。
1、基幹系ネットと情報系の庁内イントラネット間が,F/Wやルータ,VLAN機能付スイッチなどで接続されているケース
2、庁内LANに基幹系,情報系の区別がなく,どのパソコンからでも,ネットワーク的にみて,インターネットへのアクセスも住基サーバへのアクセスも出来てしまうケース
3、基幹系ネットと情報系の庁内イントラネット間がレイヤ3スイッチで接続され,なおかつインターネットからF/Wを介してそのスイッチに接続されているケース
4、公衆電話網で出先機関から基幹系ネットにダイアルアップしてくる場合で,発信元を電話番号でチェックしないケース
5、委託業者側からダイアルアップないしは専用線接続にて庁内LANに常時接続可能となるケース
6、住基ネットに繋がる基幹系HUBに空きポートがあり,持ち込んだノートパソコンをそこに接続可能なケース
これだけのコストと個人情報漏洩というリスクを冒してまで導入するからには,単に自分の住民票が全国で発行できる程度のリターンでは割に合わない。もっと有効な活用方法がないのであろうか。その活用方法に対する国民的なコンセンサスを得るまでは全国の全ての市町村で一斉に休止すればいい。
ネットワークの安全性を高めるために膨大な運用監視システム費用を追加投入するのがいいのか,このまま安易な手抜き運用を続けるのがいいのか,あるいは無駄なシステム運用を止めるのがいのか。判断材料は出揃ったのではないか。
B住基ネットのセキュリティ確保について
セキュリティ確保について8項目
上記セキュリティ対処にかかる初年度で必要な投資は最低22億円に上る。総額コスト(24時間365日監視付)5年間の累計はおよそ80億円強と計算できる。
このように費用対効果という観点では語れない費用を予算化さえできない自治体はどのように対処すればよいのか自ずと見えてきている。国の対応はあまりにも杜撰と言わざるを得ない。
C住基ネットの法的問題について
一定の新たな法制度を設けようとするとき,それを必要とする社会的背景事情(立法事実)が必ず存在する。
D結論−市町村への提言と県の役割
2、総務省の対応
総務省は「住民基本台帳法で都道府県は、市町村が登録した4情報をサーバーに保存したり、照会に応じることなどが定められており、県が中継を止めることは違法になる」と述べ、また6月5日、「不参加は認められない」とする反論文書をまとめ、全都道府県に通知しています。
この中で、知事の権限について「住民基本台帳法の規定で、知事は住基ネットを運用する義務がある。不正アクセスの兆候を見つけた時など一時的に接続しないことはあり得るものの、独自に解釈して住基ネットに参加しないことはできない」と説明しています。
また、この文書の中で全国の市区町村のうち1割以上の約400の団体で、住基ネットと接続している庁内LANが、インターネットと接続していることを認めています。そのうえで、「接続していたとしていても、直ちにセキュリティー上危険とはいえず、FWの設定など適切なセキュリティー措置の実施により、個人情報の保護を図ることが可能」と説明しています。また、仮に庁内LANにウイルスやハッカーが侵入しても「住基ネットに入り、他の市区町村のCS(コミュニケーションサーバー)、都道府県サーバー、指定情報処理機関サーバーに到達する恐れはない」とも説明しています。
3、コメント
総務省の「反論文書」では、
点を上げておりますが、これは、全く現実的な論拠ではありません。
最後に、自治体の対応について具体的なアンケートをするとともに、実地調査にてネットワークの接続の危険性を指摘した今回の長野県の報告書をどのように評価しますか。この中で危険性のあるネットワーク接続事例を具体的に6パターン例示していますが、所沢クラスの中堅の市は、おそらくほとんどが、6パターンの1に該当するのではないかと推測されます。所沢市のネットワークのセキュリティ水準をどのように評価されますか。
以上