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2003年4月10日

所沢市情報公開・個人情報保護審査会

会長 川口 雄市 様

 

異議申立て人 大和田 諭史

 

住民基本台帳ネットワークシステムに係る異議申立てに対する追加意見・資料の提出について

 

 下記の追加意見・資料を提出致します。どうぞよろしくお願い致します。

 

 

1、離脱した国立市、中野区の総務大臣あて質問書、「住基ネットを考える所沢市民の会」の所沢市長あて質問書より、住基ネット離脱のとらえ方

 

(国立市 ホームページより)   *資料@

・2002年12月26日、国立市の住基ネット切断時における国立市長のコメント

・2002年10月11日、住民基本台帳ネットワークシステムに関する質問書

(国立市長から総務大臣あて)

・2002年10月25日、上記回答書(総務大臣)

・2002年11月28日、住民基本台帳ネットワークシステムに関する3度目の質問書

(国立市長から総務大臣あて)

2002年12月19日、上記回答書(総務大臣)

 

(中野区 ホームページより)   *資料A

・2002年9月11日、 中野区長 住基ネット切断コメント

・2002年9月11日、 住民基本台帳ネットワークシステムの切断について

・2002年8月14日、住民基本台帳ネットワークシステムにおける本人確認情報の安全確保等について(中野区長から総務大臣あて)

・2002年9月9日、  上記回答書(総務大臣)

 

(住基ネットを考える所沢市民の会)*資料B

・2003年3月12日、 住民基本台帳ネットワークシステムについての質問の回答

 

国立市も中野区も、国の各行政機関が指定情報処理機関から本人確認情報の提供を受ける場合の、提供方式や提供時期、保存、管理、廃棄、監査体制、安全確保体制を厳しく質問しています。

それは、住民基本台帳法に基づく適正な事務の管理・執行と、個人情報を守るための適切な措置を講じる責任を負った首長として、当然の事として行っております。

しかし、総務省からの回答は、国の行政機関への個人情報の提供については、利用後「完全に消去」、あるいは「厳密に管理」という制度規定があるだけで、問題はそれが十全に実施されると信頼するに足る根拠があるかというと、制度規定だけしかないという回答でありました。

市町村長が負っている責任は、単に法制度上の義務的手続きを執行することに限定されるものではなく、現時点で実用的な技術、手法を総合的に利用することによって、「個人情報保護」を社会的に容認できるレベル、および当事者(個人情報の本人)に容認できるレベルで確保することが、「住民基本台帳ネットワークシステム」の運用責任者である市町村長の責任として求められています。主として法的な規定に従ったと言明し、あるいは「個人情報保護」のための法令・条例が存在することを指摘するにとどまっていようではダメなので明白です。

また、両首長の、個人情報の漏えいを防止するセキュリティ対策が十分とられていないという指摘では、これは、住基ネットに参加する3000以上の自治体のセキュリティ対策が極めて信頼できない状態であることを指しています。長野県の審議会が「自治体庁内LANの実態調査」をやろうとしていることなども、同じ認識に立っています。「ネットワークを構成する全機関に、同一レベルの個人情報保護を保障する条例がないこと」を指摘しているのも、このあたりの問題をふまえています。

こうした問題を「本人」あるいは自治体の「システム運用責任者」の側からチェックしてシステムの健全性を形成・維持するための機能として「自己情報コントロール権」があるのに、本人(市民)のレベルでも、自治体首長(システム運用責任者)のレベルでも、この「コントロール」が機能するようにシステムは作られてはいないことがはっきりしています。

これでは、根拠抜きで国を「信頼」するかどうか、というレベルの判断になってしまいます。

結局、質問をした首長は、そろって「信頼しない」ことにしたわけです。「住基ネット」は「個人情報」をゆだねるに値しない危険なシステムであると「市長」の責任で判断しているわけです。

「自己情報コントロール権」は、単なる「自己防衛」の権利ではなくて、それ自体が「システムの安全性」をチェックし、形成・維持する機能を持った「市場原理」に基づく仕組みだということです。だから「システム」が信頼できなければ、「システムに参加しない」(予算をつけない、買わない)ことになるのは当然です。結果として「離脱」を選択した(「住基ネット」のサービスを利用しない/参加しないことにした:これは「自己情報コントロール権」に含まれる最終的なコントロール手段)、ということだと理解できます。

 

では、所沢市ではどうか。

「住基ネットを考える所沢市民の会」での質問状に対する、所沢市長の回答をみても、住民基本台帳法、住民基本台帳法施行令、セキュリティ規程等に基づいている、規定に基づき適正に対処するといった答え方に終始しています。

おそらく、所沢市が県や地方自治情報センター、国の行政機関に、私たちの本人確認情報を提供して、市民にとって、運用する自治体にとって、個人情報保護条例から見て、どんなことが起こるのか、起こりえるのか、当然、総務大臣に確認する必要があると思いますが、おそらくしていないでしょう。質問すること、質問する力はとっても重要なのです。

これからでも、国立市や中野区のように総務大臣に是非質問をしてみてください。

 

国立市長や中野区長は首長としての自主的な判断をしたわけですが、所沢市長は、責任ある自主的な判断をしていない(あるいは誤った根拠にもとづいて誤った判断をしている)ので、今回の「住基ネットへの情報提供の中止請求や削除請求の却下処分」は「住民基本台帳法第36条の2の適切な管理のために必要な措置」からみると間違った判断といえます。

 

2、「自治体が住基ネットから離脱することに関する日弁連意見(2002年12月20日)」を出した日本弁護士連合会作成の「住基ネットQ&A」

 

資料C 2003年2月 「住基ネットQ&A」(日弁連 ホームページより)

 

 法律の専門家集団日弁連が、一般市民にもわかりやすく、住基ネットのほとんどすべてを網羅した解説書。ホームページで無料で見る事が出来ます。この問題に対する日弁連の執念が感じられる。

 冒頭、住基ネットは個人情報保護の上でも、セキュリティ対策の上でも極めて問題が多いと指摘。住基ネットの運用の停止と自己情報コントロール権の確立を求めています。

 住基ネットの生い立ちから、仕組み、メリット・デメリット、住基カード、そして、Q28、29では、住基ネットを稼働させる事こそ違法といい、住基法3条、36条の2より、市町村長には、住民の本人確認情報を保護するために「適切な管理のための必要な措置」=離脱、不接続の選択が当然=適法と述べています。


 

3、補佐人 吉村英二 追加意見陳述資料(2002年4月9日)  *資料D

 

 金融機関や貸金業者は、口座開設時、契約締結時の本人確認だけではなく、取引後の、契約不履行、延滞発生、期限の利益の喪失などの時に、住民票の取得をする機会が急増している(第三者取得)。住民票請求の3分の1は、金融業者など第三者と言われる。景気の停滞、自己破産の急増などの影響でもあるが、本人を特定できる住民票コードを金融機関が利用したがるのは当然だろうと考えていたが(韓国やアメリカでは当たり前になっている)、国がお墨付きを与えてどうなるのか。明かな国による違法行為。これはミスなのか、問題の大きさを認識していないようで、学習効果もなさそう。これではセキュリティレベルは最低と言えませんか。「こんな国の言いなりにはなれない」と、自治体の首長は一言言うべき。

 

4、「国民共通番号制に反対する会」代表 櫻井よしこ氏 執筆記事より  *資料E

 

・2003年3月1日号  雑誌「週刊ダイヤモンド」徴税事務に住基ネット使用

・2003年4月23日号 雑誌「サピオ」脱住基ネット宣言B

・2003年4月9日号  雑誌「サピオ」脱住基ネット宣言A

・2003年3月26日号 雑誌「サピオ」脱住基ネット宣言@

 

住基ネットは自治体の判断でさまざまな目的に使う事が出来る。そこが総務省のねらいのように感じる。例えば兵庫県で徴税事務で住基ネットを利用するようになれば、県下の市町村でも使わざるを得なくなり、国でも、となる。住基ネットに反対の人でも、限定番号として使うなら納税者番号制に賛成の人も多い。サラリーマン税制(源泉徴収・年末調整)を改め、納税者に主体性を持たせ、番号制によって、不正や脱税を減らせばメリットが大きいことがわかっているからである。しかし、あくまでも税制だけの、限定番号として、である。

 

住基ネットは、櫻井よしこさん他たくさんのジャーナリストが反対している。自分の足で動いて取材し現場の声を基にした取材記事を読むと、この住基ネットの問題点が確信を持って理解できる。脱住基ネット宣言Bでは、前回の追加意見書でも取り上げた、総務省市町村課長の「事務連絡」を取り上げ「どうみても醜い内容だ」、取材した結果「自治体はICカードを望んでいない」と書いている。Aでは離脱した矢祭町長、国立市長、杉並区長の取材している。@では、実際、櫻井氏自身が、長野県の本人確認情報保護審議会の委員になった上で、長野県の現場を実態調査し、自治体にも住民にも住基ネットのメリットが無い事を確信している。

本当に、ただの批判、反対ではないのです。

 

5、埼玉県庁の宅地建物取引主任者登録申請における住基ネットの利用(電話取材による)

 

先般、埼玉県庁に、宅地建物取引主任者登録申請における住基ネットの利用について電話取材しました。担当部署は、埼玉県庁の県土整備部の数ある部署の中の開発指導課(開発行為関係、宅地建物取引業関係、不動産鑑定士関係、国土利用計画法関係などを扱いそれぞれに膨大な申請書、届出書類を抱えている)で、初め、住基ネットと宅建主任者登録申請について尋ねるとまだわからないと、IT企画室やら、情報政策課に聞いてくれといわれ、そうするとまたわからず、市町村課にまわされ、市町村課は、住基ネットのネットワークはすでに構築されているので、直接担当課である開発指導課に聞いてくれといわれ、元に戻ってしまう。

結局、メリットが少ないため徹底されていないだけのよう。ネットワークは出来ているので、端末を置いて、使えるよう法令、規則関係が整備できれば、2003年5月頃から始まるようである。

宅建主任者登録の場合、後に住所が変わり届出をしない限り、住民票による申請住所の確認は最初の1回だけである。これが、住基ネットの端末を使って検索する事に代用される。申請人(代理人)が窓口に着たときに、その場で住民票と照らし合わせて済んでいたものを、わざわざネットを使って検索しなければならない。しかも、通常は、民間団体である宅建業協会が代行しているので手間も少なかったが、宅建業協会には住基ネット端末は置けないので、開発指導課に、宅建業協会から書類が回ってきたときに住所検索をしなければならなくなってしまった。(別途、身分証明書が必要で市民が市役所に行く手間は無くならない)

尚、開発指導課には、宅建主任者申請のほかに、住基ネットを使うのは、個人の宅建業者申請だけとのこと。要するにそれだけのために、全国一億二千万人の住民を検索できる住基ネット端末が開発指導課に置かれてしまうのだ。自治体市民課のように、限られた部署・人員の利用ではなく、電子政府とやらによって、県レベルでも、住民票添付の業務があれば、ほとんどどの課でも住基ネット端末が置かれる。

先ほども述べたように、目的もあいまいなまま、周知徹底もされず、セキュリティもプライバシー保護もとても万全とは思えないが、それでも、所沢市長は、全国津々浦々、安全、心配ないというのでしょうか。

年金のように、毎年1回は住所確認をする業務は、メリットが大きいと言えるが、むしろそういうのは少なく、宅建主任者申請よりも住基ネット端末を利用する機会が少ない事務がほとんど。年金のように数が大きい場合は、逆に限定番号のほうが使い勝手が良く、セキュリティ強度も高い。そのための基礎年金番号だったはずだが。

いずれにしても、住基ネットも電子政府も、ITが目的化されていて、業務の中身、必要性を考えることを先にせず、ただ電子化しているだけ。それが効率化だと、大うそつきである。まさに、電子政府は、IT公共事業だ。

 

6、異議申立ての進捗状況と追加意見書の提出について

 

昨年9月に、所沢市個人情報保護条例に基づき、所沢市長に対し、住基ネットの情報提供の中止及び削除の請求を行い(約20数名)、それが、市長に却下されたことに伴い、10月に、異議申立てを市長に行いました(8名)。それから、6ヶ月が経とうとしております。

その間、所沢市個人情報保護審査会に対し、11月に意見書の提出、12月に口頭意見陳述(意見書付)、今年になって、2月に追加資料、3月に追加意見書と資料、そして今回4月に追加意見書と資料の提出を致しました。

時間の経過とともに、2003年度予算が3月議会を通過し、今年度の所沢市の住基ネット関連予算も決まったようです。8月には、住基ICカードの発行も近づいてきました。反面、東京都小金井市では、市議会で、住基ネット関連経費を削除した予算案が通り、現状では住基カードは発行されず、事実上の議会による離脱宣言。

審査会は、非公開(議事録も傍聴も)のため、1月に市長側が行った意見陳述で何が話されたのか、2月、3月の審査会で何が議論されたのか、提出した資料がどのように使われているのか、審査会委員が別に調査を行っているのか、等は、異議申立て人である私たちが知ることは全く出来ません。

審査会委員の皆さん、離脱した自治体の調査をしましたか、日弁連の弁護士の方々の生の声を聞きましたか、現場の職員の生の声を聞きましたか、コンピューターやネットワークのプロの技術屋の生の声を聞きましたか(ITゼネコンではなく)、全国で反対している市民の生の声を聞きましたか。

私たちは、新しいものをただ、なんでも反対しているわけではありません。被害妄想で、がみがみ言っているわけでもありません。住基ネットに疑問の声をあげたら、老若男女、職種も右左も収入も様々、主義主張も、問題意識も様々なたくさんの主体的市民が集まりました。

私たちの声が届いているでしょうか。

度重なる意見書や資料の提出により審査会委員の皆さんには、多大なご負担をおかけしてしまい誠に申し訳ございません。

最後に、公平で、納得できる説明のある判断がなされることを切にお願い申し上げます。

 

以上