異議申立て理由
1、住民基本台帳法(住基法)に違反
住基法第3条では、「市町村長は、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とあり、また、同第36条の2においても「市町村長は、住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たつては、住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい、滅失及びき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」とあります。
一方、第30条の33に、本人確認情報の提供を受けたあらゆる行政機関が「本人確認情報の漏えい、滅失、き損の防止と安全確保」のため「必要な処置を講じなければならない」とあり、附則第1条の2では「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」とあります。
にもかかわらず、あらゆる行政機関において、「漏えい、滅失及びき損の防止その他適切な管理のために必要な措置」がとられているとはいえず(個人情報に関する保護法制の無い自治体も多い)、国においても、今日になるも個人情報保護法を含め措置は講じられていません。
従って、所沢市から持ち出された、本人確認情報は、保護も安全確保もされていません。今回の住基ネットのシステムでは、全国の自治体や国の行政機関の1ヶ所からでも、すペての情報が流失する危険性があり、これを防ぐことは実質不可能であります。
従前のネットワークに接続されない場合と比較して、私の個人情報が違法、不当に利用される可能性が極めて高くなり、しかも、いつ、どこで、どのように利用されたかについて市長も私自信も確認する手段が住基法には、ありません。
このように個人情報の扱いに根本的な問題があり、プライバシーが危ない現状において、住基ネットではさらに11桁の住基コードによって統一管理がなされるため、上記の危惧は極めて深刻なものとなることは言うまでもありません。統一コードで管理されたデータは、内部の者であれ外部の者であれ、ネットワークにアクセスしたたった一人の人間の違法、不正な操作や不作為によるミスによって甚大なプライバシー侵害を引き起こす可能性があります。
以上から、私は、市長が、単に住民基本台帳法第30条の5(都道府県知事への通知)の規定により、住基ネットによる本人確認情報を埼玉県への提供するのは、住基法に違反するものと考えます。
2、所沢市個人情報保護条例に違反
所沢市個人情報保護条例 第1条(目的)では、「市の実施機関が保有する個人情報の適正な取扱い」について定め、「個人の権利利益の保護」と、「公正で信頼される市政の推進」に資することを目的としております。また、第3条(実施機関等の責務)では、実施機関は、「個人の権利利益を尊重」するとともに、「個人情報の保護に必要な措置」を講じなければならないとあります。
しかし、1、より住基法における住基ネットは、個人の権利利益を危険にさらし、個人情報の保護に必要な措置が不充分な状態であります。第7条(利用及び提供の制限)で、実施機関は、目的外利用又は外部提供の例外として、法令等に定めがあるときとしていますが、このような状態で住基ネットに接続をする義務はなく、逆に接続する事は、条例の理念、精神を踏みにじる重大な違反行為と考えられます。
また、第8条(オンライン結合による提供)では、実施機関は、「公益上の必要」があり、かつ、「個人の権利利益を侵害するおそれがないと認められるとき」でなければ、オンライン結合による個人情報の提供を行ってはならないとしていますが、もちろんこちらにも違反します。
市長は、定例市議会や広報誌において、個人情報保護、住基ネットについて下記の通り、個人情報保護法制が整う事を前提に、個人の権利・利益の保護が最重要と発言しております。しかし、市長は、専ら国が解決すべきものとするも、個人情報保護の課題が解決していないと認識していながら、今回、住基ネット接続を行ったとすると、個人情報の漏えい等の危険があるかも知れないが、敢えて未必の故意をもって全国ネットに接続した違反行為と考えざるを得ません。
以上2点の理由から、所沢市長が行った住基ネットによる埼玉県への「本人確認情報」の提供は、住民基本台帳法及び所沢市個人情報保護条例に違反し、私のプライバシーを侵害する恐れがあるので、埼玉県に対する「本人確認情報」の提供の中止と求めます。
3、提供された私の個人情報の削除措置
「提供済みの私の本人確認情報は、埼玉県へ提供された情報であり、市の保有する個人情報に該当しないため、削除することはできない」とありました。所沢市個人情報保護条例 第1条(目的)では、「市の実施機関が保有する、個人情報の適正な取扱い」について定め、「個人の権利利益の保護」と、「公正で信頼される市政の推進」に資することを目的としております。住基ネットにより、県に渡してしまったから、市の保有情報で無くなったから、関係無いというのは、甚だ無責任であり、第1条(目的)の趣旨からも大きく外れ、不当なことであります。
上記1、2の「本人確認情報」の提供中止がみとめられた場合には、埼玉県へ提供された情報の削除に最善を尽くしていただきますようお願い致します。
<市長発言及び全国市長会要望>
2000年12年 9月 定例会より抜粋
「この法律の施行に当たっては、政府は個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置を講ずるものとする」との附則条項が盛り込まれ、成立したところでございます。
このような経緯から、国におきましては、高度情報通信社会推進本部のもとに個人情報保護検討部会を設置をいたしまして、同部会は中間報告で、個人情報保護システムの中核となります基本原則等を確立をするため、すべての分野を包括する基本法を制定することが必要であるとしております。さらに、これを受けまして、個人情報保護法制化専門委員会が設置をされまして「個人情報保護基本法制に関する大綱案」がまとめられたところでございます。これによりまして、平成13年度に「個人情報保護に関する法案」の提出も予定されるというふうに聞いておりますので、個人情報の保護につきましては、それらの法律のもとで守られていくものと考えております。
2001年 12月 定例会より抜粋
杉並のような姿勢にということで、個人情報の公的な価値よりも私的な価値を最優先する考え方をどう受けとめているかとのことでございますが、言うまでもなく、個人の権利・利益を最優先と考えております。
このことは、現在国において審議中の「個人情報の保護に関する法律」第1条の目的の中で、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」と明らかにされているところでございます。すなわち、高度情報通信社会における個人情報の有用性を認めつつも、それに伴う個人の権利・利益の侵害のおそれの増大に配慮をしまして、個人の権利・利益の保護を図ることを目的としたものであり、個人の権利・利益の保護が最重要であるということを示したものだと思います。当市におきましても、同様に個人の権利・利益の保護が最重要であると認識をいたしております。
2002年 6月 定例会より抜粋
現在の第 154回通常国会におきまして、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」及び関連法案が衆議院の内閣委員会で審議をされております。当市といたしましては、個人情報の保護に万全を期するための措置が講じられるよう強く願っております。
それから、住基ネットの関係ですけれども、実は全国市長会でもこの間議論がありまして、それで、政府の方にプライバシー保護に万全の措置を講ずるようにということで強く要望をしようということで、実は要望もいたしておりますので、そういう意味で御理解を賜りたいと思います。
2002年7月18日 全国市長会
「住民基本台帳ネットワークシステムの施行に関する緊急要望」より抜粋
このネットワークシステムの施行にあたり、国においても本制度について国民の理解が得られるよう積極的な広報を行うとともに、さらに、本ネットワークシステムに係る個人情報の保護について制度面、運用面、技術面等に係る責任体制を明確にし、法律に明示された目的以外に個人情報の利用が行われないようにするなど、プライバシー保護の措置に万全を期するよう強く要望する。
なお、個人情報保護に関する法制の早期整備を図られたい。
2001年9月5日広報 市長インタビュー(抜粋)
個人情報保護制度は、個人のプライバシーを尊重しながらも、市民一人一人が、より積極的に自分の情報を管理できる制度です。自身の情報を確認するとともに、その正確さを高めていけるものと思います。
以上
2002年10月18日