平成16年(ワ)第16702号 損害賠償請求事件
原告 ○○○○ほか118名
被告 西東京市

          準備書面(2)

                           平成17年4月18日

東京地方裁判所民事第7部合B通係 御中

                   被告指定代理人
                           榮   岳 夫
                           池 原 桃 子
                           板 山   久
                           安 村 和 美
                           大 川   強
                           管 野 照 光
                           佐 藤   豊
                           内 田   誠
                           加 地 敏 朗
                           岡 村 保 彦

 被告は,本準備書面において, 原告ら準備書面(2)第1について,必要と認める
限度で反論する。
 略称等は,従前の例による。

第1 原告らの主張に対する反論
   原告らは,原告ら準備書面(2)第1において,住民票コードについてるる主
  張する。
   被告準備書面(1)において述べたとおり,西東京市長の行為について,国家
  賠償法1条1項の違法性がないことは明らかである。また,原告らの主張のう
  ち,プライバシー侵害を主張する部分は,その具体的内容が不明なままである
  (被告準備書面(1)10ページ参照)が,念のため,以下の点についてのみ反
  論する。
 1 住民票コ一ドが行政事務に無限に利用できるとする点について
   原告らは,法律又は条例さえ制定すれば,住民票コードを含む本人確認情報
  を国の機関や地方公共団体の行政事務などに無限に活用できるようになってい
  るなどと主張し,このことを問題としている(原告ら準備書面(2)第1,1(4))。
   しかし, 住基ネットを利用した本人確認情報の国の機関等への提供を認める
  旨の法律又は条例は,当然のことながら,国会ないし地方公共団体の議会にお
  いて,国民ないし住民の意思に基づいて制定されるものであり,国民ないし住
  民が不必要と認めた場合には,当該法律又は条例は制定されず,国の機関等に
  おいて本人確認情報の提供を受けることはできないことになるのであるから,
  国の機関等が本人確認情報を恣意的に活用することができるものであるかのよ
  うな原告らの上記主張は失当である。
   住民票の記載事項は,住基ネットが構築される以前においても,国の機関や
  地方公共団体の行政事務に利用されてきたのであって,住基ネットの構築や住
  民票コードの存在によって,住民票に記載された情報の利用範囲が大きく広が
  るなどということはない。また,住民票コードを利用していわゆるデータマッ
  チングを行うことができないことは被告準備書面(1)10ページにおいて主張
  したとおりである。
 2 住民票コードの特異性に関する主張について
(1)原告らは,被告が被告準備書面(1)7ページにおいて「住民票コードを変
  更した場合に変更前の住民票コードが一定期間に限って保存される」と主張
  した点について,「これは住基法30条の5第3項で規定している「都道府
  県知事」の保存期間のことを指していると思われるが,被告は市であるから,
  当該規定の適用はない」と主張するが(原告ら準備書面(2)第1,  2(1)),
  以下に述べるとおり,住民票コ−ドを変更した場合には,変更前の住民票コ
  ードは,一定期間が経過した後に消去されることになるものである。
   すなわち,西東京市長は,既存住基システム内のいわゆる既存住基サーバ
  (以下「既存住基サーバ」という。)において,本人確認情報(住基法30
  条の5第1項,住基法施行令30条の5参照)を含む住民票の記載事項を保
  存,管理するとともに(住基法6条3項),住基ネット内のコミュニケーシ
  ョンサーバ(以下「CS」という。)において,本人確認情報を保存,管理
  している(電気通信回線を通じた送信又は磁気ディスクの送付の方法並びに
  磁気ディスクヘの記録及びその保存の方法に関する技術的基準〔平成14年
  総務省告示第334号〕(乙第1号証,以下「技術的基準」という。)第6,
  6,(1))。
   西東京市長は,既存住基サーバにおいて保存している本人確認情報を含む
  住民票の記載事項については,当該住民票が転出等により消除された日ない
  しこれが改製された日から5年間保存した後,消去することになる(住基法
  施行令34条1項)。
   また,CSにおいて保存している本人確認情報については,当該本人確認
  情報に係る者に係る新たな本人確認情報が記録された日から起算して5年を
  経過する日までの期間(住民票の消除が行われたことにより記録された本人
  確認情報にあっては,当該本人確認情報が記録された日から起算して5年を
  経過する日までの期間)保存した後,消去することになる(技術的基準第6,
  7,   (1))。
(2)原告らは,「指定情報処理機関においても,住民票の記載,修正が行われ
  た場合には,記載・修正前の本人確認情報について,通知の日から5年間の
  保存期間等が定められている」が,「新たに記載・修正された本人確認情報
  に住民票コードおよびその変更履歴が記載されている以上,それより古い本
  人確認情報が保存期間経過によって廃棄されたとしても,最新の住民票コー
  ドおよびその変更履歴として,住民票コードが,いわぱ”数珠つなぎ”に蓄
  積されていくだけである」と主張する(原告ら準備書面(2)第1,  2(2))。
   しかし,住民票コードの記載の変更がなされた場合に本人確認情報として
  通知すべき事項は,「当該住民票の記載の修正前に記載されていた住民票コ
  ード」に限定されており(住基法30条の5第1項,住基法施行令30条の
  5第4号),当該住民票の記載の修正よりも以前になされた住民票コードの
  記載の変更に係る修正前の住民票コードをも通知すべきものとはされていな
  いのであるから,原告らが主張する「住民票コードの”数珠つなぎ”」が生
  じる余地はない。

第2 結論
   以上のとおり,原告らの主張に理由がないことは明らかであるから,その請
  求は速やかに棄却されるべきである。