1.現在でも83万人の市民が非通知を維持している。新たに非通知を行いたい市民をシャットアウトする一方、通知への変更はいつでも認めるシステムを採りながら83万人の市民が非通知を継続していることは驚くべきことであり、市民の主体的な選択の結果である。今、全員参加=全員通知に変更することは主体的に非通知を継続している市民に対する裏切りである。
2.3月に行われた市長選で貴職は、横浜方式を実績としてあげておきながら、再選後すぐに横浜方式の廃止を行うのは、横浜市民を欺くものである。
3.今年10月に予定されている国民年金・厚生年金の現況届廃止のために横浜方式を廃止することは本末転倒である。必要性・利便性が先行し、安全性を軽視している。
答申は、住基ネット利用事務が社会に浸透し、その「利便性」が高まっていると評価しているが、これは市民の感覚と大きく乖離している。今年10月から予定されている国民年金・厚生年金の現況届廃止に伴う利用件数はこれまでより大幅に増えることは間違いないが、現況届廃止が市民にとってどれほどの利便性の向上となるのか、検証されていない。答申は横浜方式によって共済年金受給者から苦情が寄せられていると言及しているが、その件数と内容すら明らかにされていない。
4.さらに、5月3日付けの朝日新聞によれば、社会保険庁は横浜方式における通知者は現況届を省略できると説明しており、総務省の説明と食い違っている。所管官庁である社保庁が正しいとすれば、横浜方式を早急に廃止する根拠も消失する。
5.本人確認情報等保護審議会の答申から住基ネットが総合的に安全であると判断できない。よって全員参加の根拠とならない。
細かい答申内容に対する批判は
別紙を参照願いたい。
① 諮問から約1ヶ月という短期間で、ほぼ事務局の意向どおりの結論を出している。
事務局の提出している資料も一方的な説明資料に終始している。
② コンピュータネットワークの安全性の専門家である伊藤穣一氏欠席のまま審議が行われた。
③ 安全性については新たな事態が生じている。
1)住民基本台帳大量閲覧を制限する法改正が審議されているが、これは本人確認4情報がプライバシーとして保護するに値することを認めたことを意味し、住基ネット導入の根拠の一つが崩れたことを意味する。
2)「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」が制定されようとしているが、これによれば、住民票交付業務が民間により行われることが想定されており、コンビニでの住民票交付などもありうる。住基情報の安全性はますます不安となっていく。
3)年金業務への利用についても、必要性だけでなく、住基ネット参加による危険性が増大するという側面からも考えるべきである。今後利用業務が拡大することは情報漏えいや目的外利用の危険性は増大する。
6.住基ネットの将来像は明らかになっておらず、その危険性が顕在化するのはこれからである。
確かに私たちを震撼させるような大事故、大規模な情報漏えい、侵入等は起こっていない。しかし、私たちが当初から指摘していた住基ネットに対する不安は、むしろこれからの時代に生起するのではないだろうか。貴職が揚げていた問題点の一つである住基ネットの将来像はいまだに明らかになっていない。私たち市民の感じていた漠とした不安は、住基ネットの利便性が格段に向上することによって、初めて情報漏えいの可能性が高まるであろうし、市民管理のツールとなる危険性もアップするというものだった。住基ネットは安全であると判断するのは今ではない。
7.住基ネットの安全性以外の諸問題もなんら解決されていない。
住基ネットの本質的問題である①国民総背番号制であること②地方自治を否定する中央集権的政策であること③地方自治体のコストが過大であること という点は何ら解消されていない。全員参加は住基ネットを全面肯定するに等しいことであり、貴職はこれらの本質的な問題点についてどう考えるのか、十分検討し、明確に市民に説明すべきである。
8.「横浜方式」廃止は住基ネットに批判的な他の自治体、市民に対する計り知れない悪い影響を与える。
現在でも、「横浜方式」や「市民選択制」を模索する自治体や市民は多い。今、拙速に「横浜方式」を廃止することは、そうした自治体や市民から希望を奪うことになる。特に杉並区は「横浜方式」を採用することを拒絶した東京都と国を相手取って裁判を起こしている。本家本元の横浜市が旗を降ろすことは、杉並区に対するはしごをはずすことに等しい。
1.上述のとおり審議会の審議が不十分であったのだから、Ⅰ5③に指摘した新たな状況を踏まえた安全性の検討を求めて、改めて審議会に諮問すべきである。
2.市民の意見を聞くこと。
市民の意見を直接聞いていただきたい。様々な方法が考えられるが、特に不参加83万人市民の意見を聞くべきである。