市議アンケート解説


〜 アンケートから 〜

西東京市民の個人情報を守る会


●回答率は低いか高いか

 回答率は約3分の1。しかし共産党からは議員団全員一括での回答だったので、回答数そのものはわずか9通であった。まずは回答を寄せて下さった議員の皆さんに感謝したい。回答者の多くは住基ネットに批判的な立場の議員であったが、自民党会派の2議員からの回答は欄外への意見の書き込みも多く、真摯な姿勢が印象に残ったことを特記しておきたい。

 西東京市議会には現在7つの会派と2名の無所属議員がいるが、このうち会派から1名も回答がなかったのが「西東京市議会公明党」「自由民主党」「市民クラブ」の3会派であった。このうち特に公明党は、昨秋の議会で住基ネットに関連して市個人情報保護条例改正を求めた市民の請願に対して、本会議で反対討論まで行っている。堂々たる「住基ネット安全論」であっただけに、このアンケートに回答がなかったのは残念であった。

 回収率をあげるためには選挙前に立候補者に対してアンケートを行うべきだったかもしれないが、他市でのケースを見ると、統一地方選前に行ったアンケートでも回収率はおしなべて低い。選挙の争点としても、それほど浮上したケースは少なかったようで、議員(候補者)も有権者も住基ネットに対する関心が低下していることがうかがえる。今年8月からは「第2次稼働」として、対象業務の拡大やICカードの発行などが計画されているだけに、自治体レベルでのさらに活発な議論とはたらきかけが急務といえるだろう。


●離脱か選択制か?

 回答者の多くがもともと住基ネットに批判的な議員であり、回答もおおむねそうした傾向のものが多くなった。14議員中12議員がただちに離脱、あるいは離脱を視野に入れた対応をすべきと答えた。選択制についてもほぼ同様の回答となった。自民党の2議員中、1名は「接続は当然」としたが、もう1名は「現時点では問題ない」と一定の留保をつけている。この議員は住民選択制についても「ただちに導入は難しいが、住民の意思を尊重するなんらかの枠組みが必要」と回答しているほか、住基ネットそのものについて基本的に賛成を前提としてではあるが市民意向調査の必要性を認めており、賛成論の立場からでも住民の意向を重視する流れがありうることを示しているだろう。こうした議論を突き詰めていけば、住基ネットそのものの存廃を問わずに、参加したい人は参加する・そうでない人は参加しないという「本人選択制」に必然的に行き着くのではないかと考えるのだが、どうだろうか?


●2次稼働とICカード発行

 今年8月に予定されているという「2次稼働」では、対象業務が拡大するとともに希望者には住基コードを利用したICカードが発行される。これは住民基本台帳法に定められたものであるが、業務そのものは自治体の事業であり、発行は市条例に基づいて行われる。つまり、どのような形でICカードを発行するか(あるいはしないか)は、国ではなく自治体が決定することであり、条例による規定が必要であるから、それは直接、市議会議員の仕事となる。ここでも、自民党議員が共産党とともに「市民の意見を広く募った上で、カード導入の可否やサービス対象を決定すべき」と回答しているが、すでに「2次稼働」予定日まで100日を切る状況であるのに、現在までオープンな形での議論が行われた形跡がない。総務省が出したヒナ型を市がそのままなぞり、その案を議会がそのまま認める、というような形だけは避けなければいけないのではないか?


● 「設問8番」について

 設問の【8】は、議員個人の意見や知識、考え方をより深く知るために、やや煩瑣な項目立てとなった。「質問が多すぎて答えるのが厭にならないか」との危惧から、この部分は答えなくても構わないとしたが、結局全員から回答があった。

 ここで例示されているのはいずれも「よくある賛成論」「よくある反対論」の典型的な論拠であるが、われわれから見ると明らかに事実に反すると思われる「論拠」も含まれている。こちらが「正解」を知っていてあえて尋ねるのは意地悪すぎないかとの思いもないではなかったが、やはり回答者それぞれの立場がよくわかる結果になったといえるのではなかろうか。

 そうした中で、「3.仮に市内では万全の安全対策を講じても、市外に情報を送信してしまえば、どこかで情報が漏洩する可能性は否定できない」「18.国や他の自治体、センターからデータ流出が起ったと疑われる場合、西東京市が調査を請求する権限を持つべきである」「21.個人情報保護法の制定に当っては、『自己情報コントロール権』を重視すべき」に全員が「A=そう思う」と回答していることは、非常に心強く感じられる。

 ところで「5.国家の安全保障上、通し番号による管理は問題がある」という問いには、複数の議員が「意味がわからない」と答えた。これはあまり一般的ではなかったかもしれないが、保守的な立場の人の反対論としては比較的耳にすることの多い議論である。国民全体の個人情報が一ヵ所にまとめて管理されることによって、たとえば外国のスパイに漏洩した場合「なりすまし」などに利用されたり、防衛庁職員などの機密にふれる立場の人間の個人情報が悪用されるおそれがある、などとされる。また、懸念されるのは漏洩ばかりではない。架空の住民票を埋め込むことも不可能ではないことを指摘しておきたい。

 「16.自治体として住民の安全や権利を守るために何をなすべきか、積極的にとりくむべき」という項目にも、やはり「意味がわかりません」との回答が出た。これは文章がわかりにくかったかもしれないが、ようするに自治体には住民の安全や権利を守る義務と責任があるにもかかわらず、あまりにも無批判に国(総務省)の指示にいいなりになってその責務を果たしていないという現状がある。しかも住基ネットは本来、国ではなく自治体の業務ではないか、ということで、自治体議員としての自覚や責任感を問うという意図の設問であった。

 また「22.ストーカーやDVなどの対策が不十分で悪用されるおそれがある」に対しては「質問が不適切」という回答があった。これはおそらく何かの誤解であろうとは思うのだが、ストーカーやDVと住基ネットの問題については、日弁連や女性団体などから危惧する指摘があがっているもので、国立市でも住基ネットからの離脱理由の一つに挙げている。まずDVの場合は、DV夫の暴力から逃れて住居を移しても、世帯毎に通知されるコード番号が加害者である夫に知られて、住居を割り出されてしまうおそれがあるという問題がある。ストーカーの場合は、コード番号を知るのはそれほど容易ではないが、たとえば役所の担当職員を供応するなりして聞き出す、ということがありうる。当該市の職員の中から供応に応じるような職員を都合よく見つけ出すことは困難だろうが、住基ネットに参加していれば全国のどこかに一人でもそうした不良職員がいれば日本中のすべての住民の情報が漏洩可能な状態になるのである。

以 上


03/5/19作成