異議申立てに対する決定



                                14西市市発第430号
                   決    定

                       異議申立人総代
                        東京都西東京市○○○
                        神 島 由紀子 様
                        東京都西東京市○○○
                        柳 田 由紀子 様
                        東京都西東京市○○○
                        若 林 京 子 様

 異議申立人が平成14年9月17日付けで提起し、同年10月4日付けで追加申立てのあった住民基本
台帳ネットワークシステムの接続及び住民票コード記載処分についての異議申立てに対して、次の
とおり決定する。

                   主    文

1 異議申立人目録中 120番、 179番及び 340番を除く異議申立人の本件異議申立て中、異議申立
 人への住民票コードの記載及び住民基本台帳への記載の取消しについては棄却し、東京都知事へ
 の通知を取消すことについては却下する。
2 異議申立人目録中 120番、 179番及び 340番の異議申立人の本件異議申立てを却下する。

                   理    由

第1 異議申立ての趣旨及び理由

1 異議申立ての趣旨
  異議申立ての趣旨は、次のとおりと解される。
  (1) 住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133 号。以下「改正住民基本台帳
   法」という。)附則第3条の規定に基づき記載した住民票コードの取消し
  (2) 改正後の住民基本台帳法第30条の5第1項の規定により本人確認情報を東京都知事へ通知
   したことの取消し
  (3) 東京都知事に通知した本人確認情報の削除を東京都知事へ請求すること。

2 異議申立ての理由
  本件異議申立ての理由は、次のようなものであり、申立人は、これらの点から本件処分が違
 法・不当であると主張しているものと解される。
  (1) 住民票コードの記載、住民票コードの本人への通知及び東京都知事への通知は、国家によ
   る国民への管理の強化であり、申立人の了解のない住民基本合帳ネットワークシステム(以
   下「住基ネット」という。)への接続は、西東京市個人情報保護条例(平成13年西東京市条
   例第13号)に違反している。
  (2) 住基ネットの接続は国民の合意を得たものでなく、個人情報保護措置も不十分なので、西
   東京市長は、住基ネットの接続については、市民の同意を求める等の手続をとり実施すべき
   である。

第2 認定事実及び判断
1 認定事実
  本件異議申立てに係る認定事実は、次のとおりである。
  (1) 平成11年8月12日に改正住民基本台帳法が参議院で可決成立し同月18日に公布され、平成
   14年8月5日に施行されたこと。
  (2) 平成14年5月6日に改正住民基本台帳法附則第7条の規定に基づき住民票に仮の住民票コ
   ードの記載をしたこと。
  (3)改正住民基本台帳法附則第7条の規定により、平成14年5月9日に仮の本人確認情報(住
   民票に記載された氏名、住所、出生の年月日、男女の別及び住民票コード並びに住民票の記
   載等に関する事項で政令で定めるものをいう。)を東京都知事へ通知したこと。
  (4) 平成14年8月5日に改正住民基本台帳法附則第3条の規定に基づき住民票コードを記載し
   同法附則第5条の規定に基づき申立人に対して、記載した旨及び住民票コードを書面により
   通知したこと。

2 判断
  本件異議申立ての認定事実及び口頭意見陳述を踏まえ、次のように判断する。
  (1) 平成11年8月12日に改正住民基本台帳法が参議院で可決成立し同月18日に公布された。
   この改正は、住民票の記載事項として新たに住民票コードを加え、それを基に市町村の区域
   を超えた住民基本台帳に関する事務の処理や国の機関等に対する本人確認情報の提供を行う
   など、全国共通の本人確認のための仕組みである住基ネットを構築し、平成14年8月5日か
   ら施行されているものである。
  (2) 住民基本台帳法第5条で「市町村は、住民基本台帳を備え、その住民につき、第7条に規
   定する事項を記録するものとする。」と規定している。そして、改正後の住民基本台帳法第
   7条第13号において「住民票コード」を記載するよう定められた。また、同法第30条の2第
   3項の規定により住民票コードを記載したときは、記載した者に対し、記載したこと及び住
   民票コードを書面により通知しなければならない。そして、本人確認情報は、同法第30条の
   5の規定により住民票の記載、消除又は住民票に記載された氏名、出生の年月日、男女の
   別、住民票コードの全部若しくは一部についての記載の修正を行ったときは、電気通信回線
   を通じて東京都知事に通知しなければならない。また、改正住民基本台帳法施行日前の住民
   票コードの記載は、同法附則第3条の経過措置により記載したもので、同法附則第5条の規
   定に基づき記載した旨及び住民票コードを書面により通知したものである。したがって、こ
   れらについてはなんら違法・不当ではない。
  (3) 住基ネットは、地方公共団体共同のシステムであり国家が一元的に管理するシステムでは
   ない。保有される情報は本人確認のための氏名、住所、出生の年月日、男女の別の4情報と
   住民票コード及び付随情報のみであり、国の機関等への情報提供は住民の居住関係の確認の
   ための求めがあったときに限定し、個々の目的ごとに法律又は条例上の根拠が必要であ
   り、目的外利用をも禁止し、一元的に収集・管理することを認めていない。したがって、住
   民票コードの記載が国家による国民への管理の強化であるとは言えない。
  (4) 西東京市個人情報保護条例第10条第1項で、「実施機関は、個人情報を第8条第1項に規
   定する利用目的の範囲を超えて当該実施機関内部若しくは実施機関相互間で利用(以下「目
   的外利用」という。)し、又は市以外のものに提供(以下「外部提供」という。)してはな
   らない。」としているが、同条例2項で、「前項の規定にかかわらず、実施機関は、次の各
   号のいずれかに該当するときは、目的外利用又は外部提供(以下「目的外利用等」という。)
   をすることができる。」とし同項第2号で「法令の定めがあるとき。」と規定している。
    今般、個人情報を東京都知事に通知したことは、改正後の住民基本台帳法第30条の5の規
   定を適用し通知したものである。このことは、同条例第10条第2項第2号に該当する外部提
   供であり、違法・不当ではない。また、この通知は行政不服審査法(昭和37年法律第160
   号)にいう処分には当たらない。
  (5)住基ネットは、全国の市区町村で管理している住民基本台帳の情報を市区町村と都道府
   県、指定情報処理機関が専用の回線で結び共有しようというものであり、一人一人の住民票
   に11ケタの住民票コードを記載し、全国の自治体や国の機関が本人確認に利用するもので
   ある。国は、住基ネットの稼働に伴い「電気通信回線を通じた送信又は磁気ディスクの送付
   の方法並びに磁気ディスクヘの記録及びその保存の方法に関する技術的基準」を制定してい
   る。西東京市はこれに基づき、情報セキュリティ対策会議を設置し、西東京市が保有する個
   人情報を含むすべての情報資産を保護するために、西東京市情報セキュリティポリシー(西
   東京市情報セキュリティ基本方針・西東京市情報セキュリティ対策基準・西東京市情報セキ
   ュリティ実施基準)を策定し、本人確認情報の安全確保に必要な措置を講じ対応している。
  以上のとおり、異議申立人への住民票コードの記載及び住民基本台帳への記載の取消しについ
 ては理由がないから、行政不服審査法第47条第2項を適用して主文のとおり決定する。
  当該記載等に係る本人確認情報を東京都知事に通知したこと及び東京都知事への通知を取消す
 ことについては、法に基づく処分についての異議申立てには該当しない不適法なものであるの
 で、それぞれ同法第47条第1項を適用して主文のとおり決定する。
  異議申立人目録中 120番、 179番及び 340番の異議申立人については、西東京市に住所を有せ
 ず不適法であるので同法第47条第1項により主文のとおり決定する。

                平成15年2月17日

                   西東京市長  保  谷  高  範  [公印]

 なお、この決定に不服のあるときは、この決定のあったことを知った日の翌日から起算して30日
以内に、東京都知事に対して審査請求をすることができる。

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                                14西市市第432号
                                平成15年2月17日

異議申立人総代
 神 島 由紀子 様
 柳 田 由紀子 様
 若 林 京 子 様


                         西東京市長 保 谷 高 範 [公印]


        住民基本台帳ネットワークシステムの接続及び住民票コード記載に
        対する異議申立書中九、執行停止の申立て及び十、議会への付議の
        要求について(回答)


 異議申立人が平成14年9月17日付けで提起し、同年10月4日付けで追加申立てのあった、住民基
本台帳ネットワークシステムの接続及び住民票コード記載に対する異議申立書中九・十につい
て、下記のとおり回答する。


                      記


1 九、執行停止の申立てについて
   「住基ネットは、一度情報が遺漏すると現状回復が困難であり、回復の困難な損害が生じる。
  よって、行政不服審査法第34条第2項及び第4項の規定に基づき、当該処分の即時執行停止を
  申し立てる。」との申立てがあったが、行政不服審査法第34条第2項及び第4項の処分とは認
  めないので執行停止をする必要がない。

2 十、議会への付議の要求について
   地方自治法第96条第1項第12号の規定に基づき、本異議申立てを議会に付議し、議決を行な
  うよう申立てているが、地方自治法第96条第1項第12号は、地方公共団体が、民事上又は行政
  上の訴訟及びこれに準ずべきものの当事者となる場合に、議会の議決を必要とする規定である。
   本件の場合、異議申立ての当事者でない市が地方自治法第96条第1項第12号の規定に基づい
  て行なう、異議申立ての議会への付議は、本条第1項第12号に規定する「審査請求その他の不
  服申立て」には該当しない。